2018年度のタクシー業界の市場規模は約1.6兆円であり、これは新聞業界(1.7兆円)、ペットビジネス業界(1.6兆円)、ホテル業界(1.5兆円)、旅館業界(1.4兆円)とほぼ同規模と言えます。タクシー法人数は約6,000社、車両台数は約20万台、年間の輸送人員は約15億人となっており、たとえるなら、日本人1人が月に1回は必ず利用する交通インフラと言えます。
Market & Value広がりゆくタクシー業界
タクシー業界の市場規模
今後、地方は少子高齢化・人口減少が加速し、運転免許証を返納する方がどんどん増えていく中で、地域の交通インフラを維持するためにも、タクシーの役割はけして小さくないと言えます。一方都心部では、若者のクルマ離れが進み、自家用車を所有する方が減少する中、日常生活の移動手段として、電車・バス・タクシーといった交通機関のニーズは高まっています。
2020年はコロナ禍の影響により、移動の抑制、訪日外国人客によるインバウンド需要の低下など、タクシー業界もダメージを受けましたが、人々の交通インフラとしてこの先も、変化はしても決してなくなることのない業界と言えるでしょう。
タクシー業界の将来性
タクシー業界の未来像として、MaaS(Mobility as a Service)に代表されるような、ITを活用した移動手段の革命は進んでいきますが、自動運転によるロボットタクシーなどのサービスはもう少し先の未来になりそうです。また、実現したとしても、「人」が介在することでしかできないサービスもあるため、“移動手段”としてのタクシーと、“サービス”としてのタクシーの二極化が進んでいくと予測されます。
たとえば、福祉・介護需要の増加を背景に、車いすやベッドなどで乗車可能なUDタクシーの導入により、高齢者や障がい者の方の移動を支援する「福祉・介護タクシー」や、専門の研修を受けたドライバーが妊婦さんの通院やお子さんの外出などをサポートする「マタニティタクシー」「チャイルドタクシー」、さらに観光地において、認定を受けたドライバーが観光ガイドを行う「観光タクシー」など、「人」が介在するからこそできる新しいサービスに取り組むタクシー会社が増えています。
ただの移動手段としてだけではなく、タクシーに新たな付加価値を生み出すことで、雇用の創出やドライバーの収入アップにつながると、大きな期待が寄せられています。